2021.03.09

会津木綿シリーズ開発ストーリー「伝統文化の継承」

私たち久保木畳店は「減りゆく畳文化を後世に残していくこと」を使命として活動しております。

しかし、その方法に正解はありません。

どうすれば文化を継承できるのか、日々考え、日々努力を重ねています。

今回は2021年春の新作「会津木綿シリーズ」の開発を通じて学んだことを綴っていきたいと思います。

テーマは「伝統文化の継承」

１．現存する織元は3軒のみ

しかし、時代の流れとともにその需要は減り、
現在残る織元は3軒のみと衰退の危機に面しています。

その内の１社である「株式会社はらっぱ」さんを訪ね、
生の声を伺ってきました。

雪深い静けさの中で響き渡る「カシャンカシャン」という独特の音。

トヨタ自動車の前身である「豊田式織機株式会社」の織機が織りなす音がとても印象的でした。

かつて30社以上あった織元が現在では3社のみ。

その理由は大きく２つあるとのことです。

①第二次世界大戦
　戦況の悪化とともに物資不足に陥った日本。
　金属類回収令により武器に必要な金属資源として織機が国に回収されて、　それをきっかけに事業を継続しなかった織元が多くいるそうです。

②需要の減少
　仕事着、日常着として親しまれてきた会津木綿。
　衣類の多様化、趣向の変化などで需要そのものが減少し　事業継続を断念する織元が多くいたとのことです。

売れなければ事業を継続できない。
これは自分も強く意識していることです。

本来、織元は生地を作るところまでが役割ですが、デザイナーと協業してアパレル会社を立ち上げたり、小物類の展開にも積極的です。

生地を使ってもらう「待ちの姿勢」ではなく、自らその生地の可能性に挑戦する「攻めの姿勢」を感じました。

会津木綿の伝統とは何か。

その挑戦の積み重ねそのものなのかもしれません。

冬は豪雪、夏は酷暑という会津盆地の厳しい気候風土の中で改良され、夏は涼しく、冬はあたたかく一年中着ることができる会津木綿。

その良さを生かしながら現代の需要に合わせた変革、文化継承への挑戦が続いています。

ご案内いただいた原山専務に、会津木綿を使った畳コースターを作らせていただきたい旨を伝えると、
快く受け入れていただきました。

華やかでありながら素朴な温もりを感じます。

畳コースター会津木綿シリーズの完成です！

会津木綿に学び、久保木畳店の挑戦はこれからも続きます。